設置台数122台。
大規模プロジェクトに挑んだチームが語る、成功への軌跡

チームのために
個々が役割を
まっとうすることが
成功の鍵を握る

「あべのハルカス」が開業したのは2014年3月。そこから遡ること4年ほど前、2010年に私は施主であるゼネコン様から当プロジェクトの話をいただきました。今後の大阪を代表するであろうランドマークということもあり、話を受けたときは気合いが入りました。しかし気持ちだけでは受注を獲得することはできません。お客様は金額はもちろんのこと、これまでの実績や施工の品質など、さまざまな観点から総合的に判断し、発注先を決めます。それらに加えて窓口である営業の対応も重要だと考えています。私はお客様との交渉はもちろん、何度も打合せに臨み、不明点を一つひとつ解消することに努めました。なぜなら曖昧なまま話を進めてしまうと、私からバトンを渡された設計や工務に迷惑がかかってしまうからです。ただ案件を獲得するために奔走するだけでなく、ほかのメンバーが働きやすい環境も整えること。それが営業に与えられた役割だと思います。お客様、他部署のメンバー、協力会社様、プロジェクトに関わるすべての人々が安心して仕事に取り組める状態をつくれたことが、当プロジェクトが成功に至った要因だと考えています。

設計としての技術力を
存分に発揮し、
さらなるスキルアップを
遂げる

私は「あべのハルカス」に設置される自動ドアの設計を手がけました。百貨店やオフィス、ホテルなどの多様な施設が並ぶ「あべのハルカス」。工事のスケジュールはそれぞれの階層・エリアで同時進行するというものでした。そのスケジュールに伴って、私も自動ドア100台以上の設計図をほぼ同じタイミングで製図する必要がありました。加えて自動ドア装置は多くがオーダーメイド品で、フロアごとの使用状況によって大きさや動かし方、デザインなどが変わります。そのため営業の新熊さんや施工業者の方などから情報を集め、一つひとつの条件を満たす設計図の作成を心がけていました。中でも記憶に新しいのは、屋上庭園へ出入りするための自動ドアです。これまでさまざまな自動ドアを設計してきましたが、あべのハルカスほどの高層ビルで、なおかつ室外に取り付けるのは初めての経験でした。案の定、現地に行って風圧を測定すると今までにない数値が出て、普通につけたら扉が飛んでいってしまう恐れがありました。工務のスケジュールに遅れが生じないよう入念に段取りをして臨んだ各フロアの自動ドアの設計、特殊な装置を実装し、高層階の風圧に耐えられる自動ドアの設計、どちらも貴重な経験ができたと考えています。

施工現場の全体を見渡し、
課題解決に向けたフォロー体制を整える

私は施工管理として、現場のスケジュール調整や人員・部材手配、打ち合わせなどに取り組みました。当プロジェクトがスタートする以前、私は建設中の「あべのハルカス」を見て、「でかいなぁ…」とまさしく他人事で、そのときはまさか自分が工務を担当することになるとは想像もしてませんでした(笑)。だからプロジェクトのメンバーとして名を連ねたときは驚きましたよ。しかし「あべのハルカス」のようなランドマークに携われる機会に恵まれるのも当社の魅力だと思います。当然ながら「あべのハルカス」は、今まで携わったプロジェクトの案件の中で一番大規模な施設です。打ち合わせの段階から関わる人の数も膨大でした。また作業環境・状況が一日でガラッと変わることが多い工事現場。ときには確認・打ち合わせで施設内を歩き回り、気づけば一日が終わっていたこともよくある話でした。その中で私が心がけていたのは、工事の進行上で出てくる現場の意見・疑問を解消することです。それぞれの現場の進行状況を見て、納期までに作業を完了させるには何が必要かを常に協議していました。約1年間の工事が竣工したときには、責任を果たせた安堵感でいっぱいでしたね。

先人たちが積み
重ねてきた仕事を守り、
維持することが
私の役割です

私は「あべのハルカス」オープン後の取り組みとして、自動ドアの保守・点検契約を結ぶ営業活動を行いました。私自身、以前は事務職として当社に勤めており、ジョブチェンジによって保守サービス部の営業となりました。「あべのハルカス」は営業として取り組んだ初めての仕事ということもあり、当時のことは今でもはっきりと覚えています。「あべのハルカス」は大きく「あべのハルカス近鉄本店」「あべのハルカスダイニング」「あべのハルカス美術館」「オフィス」「大阪マリオット都ホテル」「ハルカス300(展望台)」にフロアが分かれており、自動ドアの仕様もそれぞれ異なります。私の役割はその異なる自動ドアの仕様を把握することはもちろん、管理会社・オーナーによって異なるご要望を汲み取り、各フロア・各テナントに最適な保守・点検プランを考え、契約を結んでいただくことです。大阪のランドマークタワーとして愛される「あべのハルカス」。その保守・点検を担う立場として、新規営業・設計・工務から引き継いだ自動ドアをこれからも守り続けていきたいです。